友達が泊まりに来た。

部屋の電気を消して寝転がって種々のことを話していると、僕の好きだった人の近況の話になった。

僕は彼女と疎遠になってしまったが友達はまだ関わっていたようだ。

相変わらずで元気そうな彼女の様子を伝え聞き「へぇそっか、ならよかった」と言った、事実そう思った。

彼女に告白できないまま会う回数は減り、ラインも徐々に返ってこなくなって、遂に一年以上前から返信が途切れた。

話す機会がなくなると彼女が頭に浮かぶこともなくなる。自然彼女を思い出すことは減っていた。ほとんど忘れていたと言ってもいいだろう。

それでも、友達が帰った後ぼーっとしていると「彼女に似合う人間になるために頑張ろう」というポジティブな言葉が浮かび上がった。いや、今後どうなろうと僕と彼女が結ばれないであろうことを考えると盲目的で悲しい言葉なのかもしれないが。

実践にうつせるかはさておき、この腐りきった数年の生活の中で、この思いだけは本物だという強い確信がある。

柄じゃないけど、いつか素敵な男になって彼女の下に現れるのも良いかもしれない、なんて思っている。