帰った場所

連休も終わりだ。LCCの本日最終便であの場所に戻る。空港で一気飲みしたストロングゼロも、僕の寂しさと辛さを掻き消してはくれない。

とても良い連休だった。

金曜の夜には、偉い人からの連絡にびびりながら空港に向かい、無事に到着し良い店で酒と肴を楽しんだ。時間をかけて体に染み込ませたアルコールが「これが大人の楽しみ方だよ、今後もこうやっていこうね」と耳に息を吹きかけてきて、ホワホワとした気分になった。しかしそのホワホワとした不安定さが慣れ親しんだ町並みをより懐古的にさせてきたので、負けてなるものかと大学在学時に幾度も幾度も繰り返し聞いた音楽を、静寂で満たされた街に叩きつけるように歌った。不審者だ。

誰と飲んだかも最早覚えていないが、今回卒業する同期の家で四時まで飲み、そのまま泊まった、はず。イントロクイズをひたすらやったことは覚えている。あと後輩たちが可愛かった。

土曜の朝は、柄にもなく8時に起き(通常は10時間寝ても眠い)旅先の朝を堪能(とめどなくスマートフォンをいじる)し、うどんを食いに家を出た。これが大変に美味い店だったので、ほくほくとした気持ちで水族館へ向かった。でっかい魚や可愛い水棲獣など、普段見ることのできないものを見るのはやはり良い。存分に楽しんだあと、その近くにある猿の住む山へ入り、彼らとその作るものは人間とさして変わらないという中学生のような結論を出した。子供の猿は破茶滅茶に可愛いが。その後遅れてきたメンバーと合流し、寿司屋へ。ひたすらに旨味を貪り尽くし、はち切れんばかりになったところで温泉へ。火照った体に飲むヨーグルトを叩き込んで同期の家へ戻り、また飲んだ。これだけは忘れたくないので明記するが、たけのこニョッキというゲームを女の子と行うと幸せになれる。本当に楽しく、幸せな時間を過ごすことができた、ありがとうたけのこニョッキと後輩たち。この日も四時くらいまで宴は続いた。

日曜の朝、レンタカーで阿蘇へ向かった。車内には懐かしい曲が流れ、僕たちは歌詞を間違えながら、リズムに躓きながら、大声で歌い続けた。阿蘇の景色は雄大で、馬の糞で埋め尽くされんばかりであった。飯を食べに向かったカフェは田んぼに囲まれていて、曼珠沙華が畦道に赤を足していた。その後温泉に入り、所要のある一人を送り、また温泉に入り、同期の家に戻り、また四時まで酒を飲むためのゲームをしながら過ごした。これもまた楽しかった。

月曜、最終日の朝は、酒を飲まされすぎた同期を置き去りにして、ラーメンを食べに向かった。美味いものしか食べていない、このままでは体調に変化をきたすのでは、と温泉に向かえば体重計は見たことのない数字を示していた。ストレス解消に露天風呂で仁王立ちで町並みを見下ろすと、思いの外溜飲が下がり、視界がぐんっと広がる気分であった。その後は母校を訪ね、同期の家に置いてきた荷物を回収、バス停近くまで向かい、喫茶店で紅茶を嗜み、バスに乗り、空港に乗り込み、遅延した飛行機に飛び乗り、電波のない機内でこの文章を書いている。

本当に良い連休であった。

同期だけでなく、後輩が付き合ってくれたことで、あまりダラダラしない、楽しさに満ちた旅になった。この法則は今後に活かしていきたいと考えたのだが、もう母校に戻る理由も、戻れる場所も幾つもないのだと思い至り、ただいまは悲しさに縛られているわけである。過去にできた繋がりを現実から逃避するために消費しているのである。

だけど、本当にお願いだからまたこうして遊んで欲しいな。よろしくお願いします。